モノ語りヒト語り

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遅れてきた線香花火

少しばかり時代のズレがでるのがリサイクルである。

12月はクリスマスの大きなツリーに惚れ惚れしても、1月になってそのツリーのお買い取りとなると気分は複雑である。一世を風靡したロデオボーイも人気のピークを過ぎてから、手放す人が増えてお買い取りのラッシュとなるが、その頃は欲しい人のニーズは少なくなってきている。盛り上がっている時期には静かで、盛り下がってきてから少しずつ賑やかになってくるという季節物リユースの宿命である。

そんな業界にいるので、夜ともなると秋の虫の鳴き声が聞こえる10月に「線香花火」の話を持ち出すのをお許しいただきたい。

今の線香花火をみて、昔と随分違ってきていると、多くの人が感じていると思う。調べてみると、多くの花火は中国製(年間2億本輸入されているという)で、昔見た風情がないどころか、あっという間に燃え尽きるシロモノである。どこへ行っても日本製の線香花火は売られていない。1998年に純国産の線香花火は燃え尽きたらしい。なんとか復活させようという人たちで線香花火愛好会が作られ、それを支持する人がカタログハウスで1,000人集まったとのこと。それらに応えて、300年の歴史ある線香花火を復活させようと考えた会社や花火師がいたというのが頼もしい。2003年から2012年にかけて、純国産の線香花火が各地で生産、販売されることになった。

その中の一つ、女性花火師 斉藤公子さんが、1本1本手作りで作った国産の線香花火を発注。その名も「ひかりなでしこ」、桐箱入り12本である。それなりの値段だから、それなりの箱にしたのか、それなりの箱でそれなりの値段なのかわからないが、2,625円!!

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8月、岡山の山奥でイノシシのバーベキューの後、幼児、小学生6人に線香花火をお披露目することとなった。「この花火は昔、誰もがやった線香花火で、最初は蕾から始まって次々と花火のカタチが変わっていくのだよ」と誰も頼んでいない講釈。1本点火。シュルシュルと玉が出来てチリチリと花火が飛び散るだけで終わる。

「じぇ!じぇ!」

2本目も同様。講釈とだいぶ違う展開に白い鳥が飛んで行く・・・・・・・・・。
3本目、ようやく成功。溶岩のような真紅の火玉から、放射線状の火花が20センチくらいに広がるサマは息を呑みます。

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子供の時より感動しているのかもしれない。それもいつ終わるかと思うくらい長いショーである。(1分以上続いているかもしれない)七変化ならぬ起承転結の四変化が美しく、そして儚い。花火大会と違い、線香花火を手にしたひとりひとりの夢が広がる花火なのだ。カメラを手にして見とれる私。従って、写真撮影は見事に失敗、イラストで勘弁して下さい。

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(12本中、3本成功、9本失敗という結果。「次は倍返しだね」と皮肉られたからには、来年は「スボテと長手の二本立て」でお返ししよう)

それなりの見栄を張って買ったのに、小学生の前でエエカッコができなかったことが残念であった。

数日後、線香花火の箱などを処分しようとして、よく見ると「湿気をすいやすいので、ご使用前に一日乾燥させて下さい」とある。考えてみれば線香花火大会まで1ヶ月以上そのままにしていたのだった。クレイムの電話をしないで良かった。説明書というものは、なんであれ使用前にしっかりと読まねばなりません、よ。

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線香花火の名前の由来や、スボテと長手の違いなどあの小さいカラダにはロマンが詰まっています。

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