モノ語りヒト語り

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表は家具、中は着物、ディープな世界・着物リサイクル

外から見ると「くらしのくら」は家具屋さんに見えるようで、中に入ったお客様に「え?こんなにいろんなものがあるの?」とびっくりされることがある。33坪の狭い店ではお買い取りした品々を全部並べるわけにもいかず、スペースを取られる家具がワリを食って外へはみ出していくというのが実際のトコロである。だが、一番目立つところにあるので、「外においてあった両袖のアンティーク椅子はいくら?」と、店舗前を通過した車の中から問い合わせが入ることもあるくらいだ。

一方、知る人のみが知る「きもの」は店の一番奥の「きものコーナー」にあり、道路からは目につかない。そこで、この写真のように一人着物姿でアピールに努めているというわけである。

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そんな一見目立たない「きもの」だが、お店全体の売上では貴金属と着物でおよそ半分を占めており、それぞれ専門のスタッフが販売とお買い取りで奮闘している。

お買取りではお客様のご依頼の品物以外のお品物が出されることも多い。桐箪笥のお買い取りでお伺いすると、「え?キモノも買い取ってくれるの?」と驚かれる。そういう場合、後で専門スタッフがお伺いするのだが、何度もお伺いするのはお客さまにとっても、お店にとっても負担になる。本来は、家具もキモノも貴金属も一度でお買い取りするのが理想的なのだが、そう簡単に専門的な知識を深めることはできない。きものは卸しでの仕入れでは無い。手にとった質感、柄付け、色、状態などで、その産地、種類、誂えた年代などを的確に判断し値付けをしていくので、まさにキモノに触れた年数、つまり経験がモノを言う。

そんな難しい鑑定をササッとやってのける「くらしのくら」のキモノ担当であるオオイシはきものの仕立ての経験もあるベテランである。

スタッフ「今から勉強したとして何年くらいで一人前になれますかね」
「2~3年やればある程度わかるようになるんじゃないの」とオオイシは軽く答えているが、私のみるところ、門外漢が今から勉強しようと思ったら、彼女の査定レベルに到達するには二十年や三十年でも無理かと思われるような世界である。

スタッフもそれを十分承知していて、きものバリアの中にはおいそれとは入らないのが常である。でも、家具の買い取りなどでキモノを出されることの多いスタッフにしてみれば、「キモノはわかりませんので・・・」とお預かりしてくるだけであるのも口惜しい。ちょっとだけでも敷居をまたぎたい、ということで「きものセミナー」を社内で開催することになった。

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講師はキモノ担当オオイシである。
「くらしのくら」としてはその頭脳を全部プリントアウトして、データベースに入れておきたいのだが、そうできないのがリユースの仕事の面白みといえる。

着物の歴史からその種類、見分け方からたたみ方まで3回。計6時間の講義となった。

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きものセミナーのレジュメ

講義目次
1.きものとは何か
2.きものの種類と産地・きものの格(ドレスコード)
3.きものの名称
4.きものを着るのに必要なもの
5.着付け
6.きもののたたみ方
7.帯の種類
8.帯の仕立の種類
9.帯の格式
10.帯の結び方
11.帯ときものの合わせ方
12.きものの買い取り(事前確認)
13.買い取りの際の着目点
14.買い取り時のコミュニケーション

この講義が具体的で面白いのは、その「実物」が目の前にあって、しかも触り放題であるということである。こんな贅沢な講義はない。

本結城と結城の違いも実際に手にしてみることができる。また、「織りのきものに染めの帯、染めのきものに織りの帯」という講釈は実際の組み合わせた姿をみて「なるほどね」と理解できるのだった。余りに内容が濃すぎて、復習とか自習をしないと、とても身につかないのではないか。と思われるセミナ-であった。

だが、確実に身についたのは「きもの」のたたみ方。
今後は(おそらく)ササッとたたんでお見せできると思いますので、是非きものお買い上げの際はスタッフにお手伝いさせてくださいませ。

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