モノ語りヒト語り

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ワタシ・サクマドロップスを助けて下さい。

ワタシの賞味期限は2019年2月です。ですが、店頭から撤去されてしまいました。
いろんなルートを経て、今は「くらしのくら」というお店に並べられています。
チョット前まではいろんな仲間の食べ物と一緒にいたのに、今はアンティークのテーブルの上、
大きな時計の前に並べられ、これからどうなるやら不安でイッパイですよ。
しかも、定価の半値ですからね。

考えても見て下さい。
もとはと言えば明治41年に初の国産ドロップとし作られた由緒ある
ワタシ(アメ)でございますよ。
こんな似合わない場所で投げ売りのように扱われるなんてまあ!
 これも日本の流通業界での三分の一ルール(注1)によるものなので、
このお店の責任ではないんですが、賞味期限まで10ヶ月もあるというのに
この扱いってどうなの!って思いません?
でもまあ、この三分の一ルールで捨てられそうになったワタシを交換会(注2)で仕入れてくれて
ここで売ってもらっがているわけですから救ってくれた「恩人」ともいえるかなあ。

(注1 製作日から賞味期限までの期間を3等分し、最初の三分の一を納品期間、
中の三分の一を販売期間、最後の三分の一を消費期間(撤去・廃棄・値引き)とした。
したがって、賞味期間が残っていてもそのルールに従えば廃棄などの店頭からの撤去となる。
セブンイレブンが消費期限間近の弁当の安売りを禁止し廃棄したのは最近のことである)
(注2 中古の品物や、賞味期限間近の食品など様々な品物が出品され
主に中古を扱う業者がオークション形式で競り落とす交換会。
古物許可証を持っていないと参加できない)

それにしても、このルールで食べられる食品を大量に捨てていくことになるわけで、
ワタシたちとしては納得いかないよ。
この日本は世界の中でも食物自給率がもっとも低く、ほとんど輸入に頼っていながら、
食品ロス(食べられる食品)が年間620万トン(農林水産省平成26年度推定)。
換算すると10キロのお米が6億3千2百万袋分になるんだとか。
これは世界全体が援助している食料の約2倍に相当、
さらに廃棄コストは年間2兆円になるという。
(特定非営利活動法人全国もったいない市場HPより)

 このルールを見直そうという動きがあるのは大歓迎だけど、
販売者にしてみれば期限間近な商品や賞味期限が過ぎても問題のない商品を販売することには
相当の抵抗があるのはよく理解できる。
その不安を取り除くには消費者が自分の目と鼻を信じて商品を選び、
早めに消費する心構えを持つしか無いんじゃあないか。
 サクマドロップを兄妹で大事に分け合った「火垂るの墓」の時代には
賞味期限も消費期限も無かった。
それでまあ、問題はなかったよな。ナマモノは自分の鼻で消費期限を判断したもんだ。
今は自分の鼻ではなく、数字なんだから匂いを嗅ぎ分ける能力も相当衰退しているに違いないぜ。
 今は、スーパーで消費期限の遅い商品をわざわざ奥から取り出す人のなんと多いことよ。
2~3日で飲む牛乳だったら、逆にギリギリの期限のものを選んでくれれば
食品ロスも少しは減るだろうに!
 ワタシは100円で売られてもいいさ。味も何も変わらないワタシたちが、
捨てられること無くお客さまの口におさまるっていうのは嬉しいことだ。
「賞味期限2019年2月」なんて止めて
「賞味期限2019年春ごろ」になればステキなんだけどなあ。


(ヨドバシカメラで復刻版が209円で売られていた。送料無料)

カメラ屋さんでドロップか・・・時代は変わったなあ。
戦前の復刻版なので文字が右から読んでいくのが懐かしい。

次もロス仲間を救ってね。くらしのくらさん!

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